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| ●妻から夫にあてた手紙 死の52日前(2013.12.26)に書いたもの | ||||||||||||
| 谷治 様 この50年間を貴方と一緒に生活できたことは、私にとって最高の幸せでした。 本当によくしてもらって有難うございました。 幸せな50年間でした。 なみ穂・朝輝 という素晴らしい二人の子ども達ができたのも 貴方のお陰だと思っています。 自慢の家族でした。 私の結婚前の生活は幸せといえば幸せでしたが、父の体が弱かったので、私にとっては不満足な家庭でした。 だから結婚して健康な生活ができたこの５０年間は、私に自信を取り戻させて、何事にも積極的に取り組むことができたのです。 今、つくづくそう思います。 特に病気になってからの貴方は本当にやさしく、よくお世話をして下さいましたね。 一番の救いでした。 なのに、今後貴方が病気になった時、誰も世話する人がいないというのは、私にとってとても辛いことです。 このことが一番気がかりです。 伊賀さんにも頼んでありますので、困ったら何でも相談して下さい。 いっぱい言いたいことがあるのに出てきません、言葉が。 本当に本当に有難うございました。 私に会いたくなったら、空を見上げて下さい。 空のどこからか、いつも貴方のことを見守っていますからね。 料理のこととか現世界のことは、私でなくても教えてもらえるでしょう。 伊賀さんでも三浦さんでも気軽に相談して下さい。 喜んで教えてくれるはずです。 これからもっともっと病気が進行したら、今以上に貴方の手をわずらわすことになるでしょうね。 でも、私は貴方がいて下さるから 心安らかに病に向きあえます。 これも運命と諦めるしかないのでしょう。 この世の中、思うようにいかないものですからね。 今までがうまくいきすぎたのかもしれませんね。 幸せすぎたのね、きっと私は。 書ける間にと思って 一筆したためました。 これからの余生、寂しくなると思いますが、二人の子どもと二人の孫、典子ちゃんも 有賀さんも、お父さんのことを気にかけてくれると思いますよ。 少しでもたのしい ちいさい喜びを 日々みつけて生きて下さいね。 私がいなくなって、かえってイライラしなくなることもあるかと思いますよ。 不器用でざっとした私の性格は時として貴方を怒らせたことがありましたね。 これからは、いい思い出だけが残ることと思います。 物事には両面あって、私がいない方がいい時もあると思いますよ。 私とのいい思い出だけを胸に残してくだされば幸いです。 有難うございました。
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